<けやき盆栽の特徴>
けやき,欅
(英名:zelkova,keyaki)
盆栽の世界では「ほうき立ち」で有名なけやき。
寒樹の姿がほうきを逆さに立てたような形で、枝が細かいほど美しいほうき立ちになります。
繊細な木にするため、山採りではなく実生で作ったものがほとんどです。
細かな枝から吹き出した新緑のまぶしさや、秋に黄色や橙色へと変化する紅葉も見逃せません。
葉色を美しくするためには、日当たりのよい場所に置き、2~3週おきに鉢を廻してまんべんなく全体に日が当たるようにします。
黄葉ではなく紅葉する赤芽性の木は立ち性となりやすいので、ほうき立ちにつくりやすいと言われています。
<けやき盆栽 管理>
【水遣り】
新芽が出ると、とたんに水の乾きが早くなります。
水切れさせないよう、表土が乾いたタイミングで鉢底から抜けるまでたっぷり水を与えます。水切れすると葉が茶色になります。
逆に葉刈りや落葉などで葉が少ないときは、水やりの回数を控えめにします。
【肥料】
多肥は樹形が乱れます。
葉刈りで年に何度も葉を出させる場合は、玉肥を4~10月に月一回施します。
【植え替え】
毎年3月の彼岸頃、基本用土で植え替えをします。
用土が粗いと細かい枝が出ません。細かい目でふるい分けた用土を使います。
直根はもちろん元から切り、他の根も短く切り詰めて植えるので、安定するまではビニール紐などで固定しておきましょう。
【病害虫】
落葉期に冬期用の殺虫・殺菌剤を散布して害虫の発生を抑えます。
<けやき盆栽 手入れのコツ>
【芽摘み】
枝を作っていく(枝を増やす)過程では、4~5月に枝の先端の葉を摘みます。芽の出る方向を見て枝先に向けて引っ張ると、簡単に摘むことができます。
枝の伸びが抑えられ、枝数も増やせます。
【葉刈り】
4年程度持ち込むと樹姿も整ってきます。そうなると、枝数が増えたために内部に日が入らなくなり、外側ばかり生長してバランスが悪くなります。
6月に新芽がそろったところで、葉をいったん全部取り、枝先を選定して半球を作るようにします。
葉は元の部分を少し残してはさみできるか、葉元を抑えながら枝先にむけて葉を引っ張ります。生長期なのですぐに二番芽が出てきて枝葉を増やせます。
それ以降、半球から飛び出る芽は摘んでいきます。
こうして芽摘みと葉刈りを繰り返して太枝を作らないようにします。
【芽かき】
枝の付け根の芽は、見つけ次第ピンセットでかき取ります。
【剪定】
ほうき立ちでは葉刈り時に枝の様子が分かります。そこで斜上枝のみ残し、不要枝を切り落とす剪定を行います。
枝の付け根の芽かきをせず、そのまま伸びてしまった枝は枝を立て替えるために、短く切り詰めます。
ほうき状の樹冠から飛び出した徒長枝はいつでも切れます。
【整枝】
生長にしたがってフトコロ部分に空間ができてしまった場合は、ほうきを束ねるようにして枝を束ねて先端を切り、枝元にあてゴムをして針金を巻き、空間をなくすよう矯正します。
しかし、このふところの空きをなくすには、最初の枝が出たところで開きすぎないよう、ゆるくひもで8の字に結んでおくことです。
細かい枝の方向が悪い程度なら、手で枝を思いの方向へ曲げる「枝だめ」で修正します。
【繁殖】
実生は1~2年で骨格ができる一方、ちょっと手入れを怠るとほうきの形が崩れ、なんとも格好が付かなくなります。
落ちている枝から種子を取り、とがったほうを下にして基本用土に取り蒔きします。
できるだけふっくらした種子を選び、しっかり覆土します。
乾かさないように管理すると、翌年四月にはよく発芽します。
霜に当てると種子が浮き上がってしまうので注意してください。
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<けやき盆栽 月毎の手入れ>
【一月】
保護室で管理を。二月中旬頃から小枝の剪定を行い、芽出しに備えます。
【二月】
箒立ち樹形で枝を束ねていたものは二月中旬頃に結束を取ります。植え替えは三月中旬頃から。
【三月】
植え替え適期は三月中旬頃。新芽が動き出したら芽摘みをおこない輪郭線を整えます。
【四月】
四月上旬頃、新芽が輪郭から伸び出してきたら葉を1~2枚残す要領で芽つみを行う。
【五月】
輪郭背インから飛び出す芽を摘み取り、同時に葉刈りで小枝の充実を図ります。不定芽の搔き取りも忘れずに。
【六月】
養成樹は葉刈りと徒長枝の切りつめを並行して行い、枝づくりに努めましょう。
【七月】
葉刈りと徒長枝の切りつめで姿を整えましょう。小枝の修正程度なら針金掛けも可能です。
【八月】
輪郭を乱す芽は随時摘みとります。同時に徒長枝の切り詰めも可能です。二番芽の芽かきも忘れずに。
【九月】
残暑が残る間は、軒下や寒冷紗下で西日を避けて管理します。完成段階の樹は枝太りを防ぐため肥料は控えめに。
【十月】
落葉後、コケ順の悪い枝や不要枝を剪定します。箒立ち樹形の樹は麻紐で枝を束ねるように巻き上げておきましょう。
【十一月】
落葉後、枝の状態を確認しながら剪定・整姿を行います。養成段階の箒立ち樹形の樹は、麻縄などで枝を巻き上げて姿を矯正しましょう。
【十二月】
幹洗いと冬期消毒の後に保護室に入れます。特に鑑賞段階の樹や小品は早めの保護を。