<カリン盆栽の特徴>
カリン,かりん,花梨
(英名:Chinese Quince)
黒っぽく美しい幹肌と細かな枝打ち、小さな葉と、盆栽として非常に見どころの多い樹種です。
大きな実がなり、じっくり黄色に色づき香りを漂わせます。
熟すとぽろっと実を落とすこともあるので、取り扱いには充分注意が必要ですが、落ちた実はそのままもう一度枝に挿すと再び鑑賞できます。
実を確実に楽しみたいなら、一才カリンがおすすめです。ただし、カリンの実は生食できません。実を利用するのなら、果実酒にすればよいでしょう。
カリンの見どころは実だけではありません。幹太りが早いため、針金の食い込みや水切れに注意しましょう。
<カリン盆栽 管理>
【水やり】
花芽がついてから結実までの2ヶ月間に水切れをすると、実が大きくなりません。
特に夏は水切れさせないように気をつけます。
【肥料】
結実後から十月までリン酸、カリ分を含んだ玉肥を与えます。
元肥にも骨粉を忘れずに。
【植え替え】
根の生育が旺盛なので毎年か2年に一度、9月に基本用土で植え替えます。
根の整理は大胆に。春にもできますが、芽出しが早いので二月下旬から遅くとも三月上旬までに実施します。
【冬越し】
寒さには強い樹です。
【病害虫】
実を食害するシンクイムシの発生に気をつけ、よく観察して見つけ次第取り除きます。
<カリン盆栽 手入れのコツ>
【剪定】
枝先の先端に実が付くので、短枝をつくる剪定をします。
何もしないと枝が上にばかり伸びていきます。
若木のうちは胴吹き芽も多くどんどん枝を出していきますが、これ以上太くしたくないときは、先端の芽を摘んで勢いを止めます。
春と秋の植え替え適期には2~3芽に切り詰めが可能です。
【芽摘み】
古木になると芽吹きも収まってきますから、不要な部分の芽が数センチになったところで早めに摘み取り、養分が実に回るようにします。
【針金かけ】
柔らかい新枝に六月頃アルミ線をかけ、勢い良く上に伸びているのを下げてやります。こうすると枝の付け根付近から短枝が出て、実が付くようになります。
【交配】
一才カリンは自家不親和性なので、開花期にもう1本、一才カリンか唐カリンをそばに置いて受粉させます。
【繁殖】
実付きの盆栽はほとんどが唐カリンの接ぎ木苗で、実生が可能です。
果肉を取ってとりまきすると、翌年には発芽し、ぐんぐん生長して50センチ以上も伸びます。ただし、開花、結実までには時間がかかります。
このほか、挿し木、取り木もできます。
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<カリン盆栽 月毎の手入れ>
【一月】
軒下や棚下で越冬できます。芽出しが早いので水管理に注意しましょう。
【二月】
水切れに注意します。二月下旬頃から植え替えが可能ですが、作業後は保護を。
【三月】
引き続き水切れに注意します。秋に実を楽しみたい場合は開花期の施肥を控えましょう。
【四月】
伸び出す新芽を四月下旬頃から1~2節残しで芽摘み。枝数が増えると自然に芽止まりする枝が増える。
【五月】
新梢の芽押さえと不要芽の剪定で枝作りが可能です。実姿を楽しむなら水切れ厳禁。不要な実も摘果しましょう。
【六月】
施肥は芽が固まったのを確認してから開始してください。針金の食い込みに注意。
【七月】
実がとまれば施肥を再開します。不要な実は摘果しておきましょう。乾きも激しくなりますので、水切れには充分注意ください。
【八月】
徒長枝が出やすいため、不要な枝は早めの処置を。実は風にあおられやすいため、風が避けられる環境下で管理しましょう。
【九月】
水管理、肥培管理の徹底を。実姿鑑賞予定の樹は十月中旬頃に実を外し傷つかないよう冷蔵庫で保管します。
【十月】
結実した樹の水切れは厳禁です。大きく育った実は十月中に採集し、冷蔵庫で保管します。
【十一月】
落葉後に剪定すると切断面から水を吹く場合があるため、落葉前に全葉刈りし、その後、剪定で枝先を整えます。
【十二月】
耐寒性があるので棚下や軒下での管理で越冬できますが、凍結には要注意です。