モミジ

モミジ盆栽の育て方、月毎の手入れ、特徴など。

<モミジ盆栽の特徴>

モミジ盆栽-japanese-maple-bonsai-tree-001.JPG モミジ,もみじ,山モミジ,ヤマモミジ,紅葉
(英名:Japanese Maple,acer palmatum)

盆栽では葉の切れ込みが5裂以上で深いものをモミジ、ほかのものをカエデとしています。

紅葉と書いてモミジと読ませるほど、秋の様子が美しい樹ですが、春~初夏の新緑の美しさ、冬の縦縞が走った白い幹肌が魅力の寒樹と、年中楽しめる人気の樹種です。

モミジは大きくイロハモミジ、オオモミジ、亜種のヤマモミジの3種類に分類できますが、盆栽にされるのは主に日本海側に自生するヤマモミジです。

人気が高い品種は八つ房性の清姫モミジ、琴姫モミジ、織姫モミジ、新芽が赤い出猩々、清玄、紅千鳥など。また、イロハモミジも葉が小さいので、いくつかの品種が盆栽に仕立てられています。

盆栽には葉が小さく、節間の詰まった細い小枝がたくさん出ているものを選んで育てます。

秋になると2枚の翼がプロペラ代わりになって、ひらひらと実が落ちてきますから、簡単に実生ができます。その際、親の樹を見て葉性の良いもの、枝ぶりの良いものを選ぶのが、よい盆栽に育てるコツになります。

<モミジ盆栽 管理>

【水やり】

鉢土が乾いたらたっぷり与えます。

葉が広がっているので、雨が降っても鉢土に充分しみこまないことがあります。梅雨時も油断せず、必ず鉢土のようすを確認して水やりをします。

夏に水切れを起こすと葉先が縮れ、美しい紅葉になりません。

【肥料】

新緑と紅葉のために窒素分を主体にした玉肥を施します。 

【植え替え】

1~2年に1度を目安に、芽が伸び出す三月中旬頃、基本用土で植え替えます。

細かい枝を出させるには、細かい根をつくることが大切なので、土はよくふるって粒をそろえることもポイントです。

浅鉢に植えて上根を広げると、立ち上がりが太ってきて安定感のある姿になります。

植え替え時に底の部分を切り取って根鉢を薄くします。

【夏越し/冬越し】

秋の紅葉のため、夏は葉焼けさせないように寒冷紗やヨシズで日除けをつくります。

風で葉が傷んだり、乾燥で葉が縮んだりするのもよくないので、置き場所に気をつけます。

冬は枝を保護するためにムロに入れるか、暖地でも軒下か風当たりの強くない場所で、よく日に当てて越冬させます。

【病害虫】

新芽が出てくるとアブラムシも出てきますから、見つけ次第薬剤散布します。また、風通しが悪くなると、うどんこ病が発生しやすくなるので、夏は特に置き場に気をつけ、予防として薬剤を散布しておきます。

<モミジ盆栽 手入れのコツ> 

【芽摘み】

細枝を出させるため、また、節間を間延びさせないため、伸ばしたくない枝の芽がふくらんできたところで、中心の芽を摘み取ります。

ピンセットを使って、芽を左右に開くようにするとよいでしょう。

【葉刈り】

六月頃新緑が出揃ったところで、大きさの不ぞろいな葉をいったんすべて刈り取ります(全葉刈り)。

その後に出てくる二番芽は葉の大きさがそろうので、紅葉するといっそう美しくなります。

葉刈り後、2~3週間もすると、すっかり新芽が出揃いますが、芽の数がどっと増えているので、四月同様、芽摘み作業が重要になります。

葉刈り後は枝振りがよく分かるので、不要枝を剪定するよいチャンスです。なお、古木になってきたら全葉刈りにせず、勢いの強すぎる上部のみを部分葉刈りします。

【剪定】

落葉直前に枝を切ると、枝から樹液が出ません。

樹液が流れるようなら、根切りをして植え替えます。

枝づくりは1~2節残して徒長枝を切り詰め、節間の短い枝を選んで二股に残すのが基本です。

特に第一節間が間延びしやすいので、良くえらんで剪定しましょう。

持ち込むうちに徒長枝は減って、細枝が増えてくるようになります。

剪定は落葉後の11~2月に行います。また、高木性のため、上部の樹勢が強くバランスを崩しやすいので、芯の立替えも大切な作業です。

こぶのない枝にするため、節のすぐ上では切らず、その先の節の下で切って枝が枯れこんでから折り取るようにします。

【針金かけ】

針金は落葉期にかけ、生長が盛んになる5~6月ごろ外します。

針金はアルミ線を使うか、銅線なら薄い紙を巻いて枝を傷つけないようにします。

芯枝と違ってかたいので折らないように注意し、できるだけ長い時間をかけて効果を上げます。

実生苗に針金をかけて曲付けをすると、たやすく思い通りの模様木ができます。

直線に伸びてしまった枝先をやわらかく見せるなら、少し上向きにさせます。切りたくない不要枝も、針金で方向を修正することができます。

【繁殖】

茶色くなって落ちてきた実を拾い、翼の中にある種子を鉢にとりまきします。または、乾かさないように保存しておいて3月にまいてもよいでしょう。

本葉が開いたら1.5~2cmくらいで軸切りをし、バーミキュライトに挿して乾かさないように管理します。これは節間の詰まった苗作りのための作業です。

自生している場所がやわらかい土なら、四月中旬頃に発芽しているのが見られるかも知れません。これを乾かさないように濡れた布でくるんで持ち帰って育てる方法もあります。

実生苗は20~30本まとめて2号鉢に植え、そのまま鉢上げして育てれば、寄せ植えになります。鑑賞鉢に植えつけたところで、外側の苗は針金をかけて少し広がるように整えます。

六月は取り木の適期。

発根しやすい樹種なので、環状剥根をして水ゴケを巻いておけば、2~3ヶ月もすると発根して切り離せます。

挿し木は春挿し、梅雨挿しのどちらも可能です。節間の詰まった前年枝をえらんで挿し穂を作り、1節を土中に埋めます。

梅雨挿しの際は葉を2枚にし、大きな葉は切っておきます。赤玉土などに挿し、乾かさないように半日陰で管理して活着させます。

鉢上げは翌春、直根を切って植えつけます。 

<モミジ盆栽 名木・銘品ギャラリー>

<他の盆栽ギャラリーはこちら>


<モミジ盆栽 月毎の手入れ>

【一月】

保護室で管理を。二月中旬頃から軽めの剪定が可能です。

【二月】

植え替えは三月中旬頃行うのが安心ですが、保護を前提にするなら二月下旬頃から可能です。

【三月】

新芽が動き始める直前が植え替え適期です。芽摘みをして節間の間延びを防ぎましょう。

【四月】

完成段階は新芽がほころんできた段階で先端を摘み取る。枝作り段階は新芽を走らせてから剪定。

【五月】

芽摘み後に出る不要な二番芽は早めにかき取ります。梅雨期の前に、葉刈り・葉切りでフトコロの環境を整えます。

【六月】

六月中旬まで葉刈り・葉透かしが可能です。灌水時には葉やけに留意して葉水等を行いましょう。

【七月】

養成木なら七月上旬頃まで葉刈りが可能です。完成樹の場合は葉すかし・葉切りで日照・通風条件を改善させましょう。葉やけにも注意ください。

【八月】

紅葉鑑賞予定の樹は引き続き遮光下で管理。樹作りを優先するなら多少の葉やけは容認し、陽光下で管理します。

【九月】

水切れへの注意など日常の管理に専念します。この秋に鑑賞予定の樹は、残暑が残る間は西日を避けて管理します。

【十月】

綺麗な紅葉を望むなら朝夕の寒さにしっかり当てます。湿度が低くなるにつれ乾燥しやすくなるので、水切れに注意。枝の剪定は十一月中旬までに。

【十一月】

落葉後に剪定すると切断面から水を吹く場合があるため、落葉前に全葉刈りし、その後、剪定で枝先を整えます。

【十二月】

幹洗い・冬期消毒を済ませたら保護室に入れましょう。

<他の樹種の育て方はこちら>