<五葉松盆栽の特徴>
五葉松,ゴヨウマツ
(英名:Japanese White Pine,goyo matsu)
松柏(しょうはく)の1種で、短い葉が5本ずつ出ることが特徴です。
樹勢が強いわりには生長がゆっくりしており、盆栽の代表種として広く、長く人気のある樹種です。短小で密に生じる葉はあらゆる樹形に調和し、さまざまな風趣を醸し出します。
四国の赤石・石鎚地方の四国五葉、福島県吾妻山の吾妻五葉、栃木県那須地方の那須五葉が盆栽では有名です。
芽がたくさん出てくる八つ房性も人気があり、特に那須五葉系の「瑞祥」は有名です。
水は少なめで管理し、日当たりと風通しの良い場所に置きます。
<五葉松盆栽 管理>
【水遣り】
ゴヨウマツとアカマツはマツ類の中でも特に乾かし気味に。
用土も水はけをよくしましょう。特に短い葉に仕立てたい場合、水遣りは抑え気味にします。これは他の松よりも過水に弱いためです。
【肥料】
春から秋の生長期に、梅雨時と真夏を除き、窒素分主体の玉肥を施します。
【植え替え】
三月下旬~四月上旬に根を整理し、水はけのよい用土で植え替えをします。
若木のうちは1~2年に1回、古木になってからは3~4年に1回でいいでしょう。
水はけをよくするには、砂の割合を増やすことが必要ですが、水遣りで崩れないかたい土を使うことも大切です。また、植え替えの際には根張りがよく見えるようにう植えかえることも大切です。
【病害虫】
アブラムシ防除のため、薬剤散布を行います。
冬の間には冬季用の殺虫・殺菌剤、発生をみたらアブラムシの専用薬剤が有効です。このほかアカダニ、ワタムシに気をつけます。
<五葉松盆栽 手入れのコツ>
【芽摘み】
四月下旬~五月に強い芽を半分から1/3残すぐらいに摘み取ります。
指で軽くつまんでひねるようにして摘み、残りがほぼ均一になるようにします。
【芽切り】
五葉松は生長がゆっくりなので普通は不要ですが、5~6月に目立って伸びてきた部分は、3葉を残してハサミで切ります。
【葉透かし】
11月になったら前年葉を取ります。葉を透かす感じで、込んだ部分は新芽もとります。
葉元をほんの少し残す感じで切り、全体のバランスを取ります。
【剪定】
休眠期、または植え替え時に枝先を二股になるように剪定します。
生長期に幹や枝を傷つけるとヤニが出て汚くなります。
3つ以上ある芽の中心部や上下に向いた芽を切り、左右の二つにしていきます。不要枝も二股になることを想定して切り、骨格を整えます。
太枝は少しえぐるように切って肉巻きを待つか、枝元を短く残して樹皮を剥ぎ取ってジンを作ります。
針金かけも同時に行い、樹姿全体を整えます。
【針金かけ】
11~3月の休眠期、枝葉を整理してからかけます。
若木のうちに曲付けをして骨格を作ったり、上向きの枝を下げたりするだけでなく、左右に伸びる芽を上に向ける(芽おこし)のも重要です。
五葉松は葉を横に伸ばしてしまうので、左右に残した芽は先端をこまめに上向きに直して方向をそろえる必要があります。
針金は1年くらいかけっぱなしにします。
【繁殖】
実生は冬に趣旨が売られているので、これを入手し、いったん冷蔵庫に保存して三月にまくか、まいてから鉢を霜の降りない戸外に置きます。
実が青いうちに取り、熟して種子が飛び出すのを集める方法もあります。
いずれも種子を乾かさないことがポイント。
鉢上げは翌年、直根を切って植えつけます。
何本か育ってきたら、奇数にしてそのまま寄せ植えとして育てると、松林の風景になり、オリジナリティのある一鉢になります。
取り木、接ぎ木でも増やせます。
接ぎ口があまりよくない接ぎ木なら、取り木で再生するのも良い方法です。時期は2~3月、芽が動き出す前に発根させます。
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<五葉松盆栽 月毎の手入れ>
【一月】
棚上で管理しますが作業を行った樹は保護します。二月下旬から枝接ぎが可能です。
【二月】
二月下旬から芽接ぎが可能です。剪定・針金かけを行った樹は保護します。
【三月】
三月中旬~四月中旬が植え替え適期。ミドリつみを行って樹勢を調節しましょう。
【四月】
若木で新梢が長く伸びたもの(ミドリ)は、まだ柔らかい間に折り取っておく。
【五月】
芽摘みが遅れたものは五月中旬~六月上旬頃に中芽切りを行います。また、剪定・整枝など強めの作業も可能です。
【六月】
病害虫が発生しやすい時期です。定期消毒は欠かさず行いましょう。
【七月】
蒸れに弱いため、採光・通風環境の良い棚場で管理しましょう。七月下旬頃から古々葉取りを行います。
【八月】
八月中旬過ぎ、新葉が固まったのを確認できれば、フトコロ部分の培養環境改善のため古葉(一昨年葉)を整理しましょう。
【九月】
混み合った部分の枝葉を剪定し、フトコロの採光・通風条件を改善。10月中旬から針金掛けも可能です。
【十月】
剪定・針金整姿の適期。冬季保護を前提に幹曲げ・枝操作も可能です。
【十一月】
基本厳寒地を除いて屋外で管理可能。空気が乾燥し始めており、意外にも水切れしやすい時期なので、乾いたら与えるを心がけましょう。
【十二月】
棚上で管理しますが作業を行った樹は保護します。また過水や水切れには要注意です。