<真柏盆栽の特徴>
真柏,シンパク
(英名:Chinese Juniper,itoigawa shimpaku)
ミヤマビャクシンのことを盆栽では真柏(シンパク)といいます。
高山から海岸沿いまで、全国各地でよく見られるイブキの仲間です。
葉性の良い糸魚川シンパクに人気がありますが、そのほかの産地のものでもほとんどが挿し木苗で、山採りものもはまず出回りません。
<真柏盆栽 管理>
【水遣り】
鉢土の表面が乾いたらたっぷり与えます。乾燥が激しいときは、葉水を与えるとよみがえります。
【肥料】
生長期は油粕など窒素分主体の玉肥を置き肥にします。
【植え替え】
2年に一度、春と秋の彼岸頃に植え替えます。
太根を切り詰めるときは幹の吸水分を考慮して、一度に切らず徐々に短くしていきます。培養中の苗木は、砂を多めにして水はけを図ります。
【病害虫】
特に心配は要りませんが、風通しが悪いと発生する事があるので環境に気をつけます。
なお、順調に育っているのに、スギのような葉が出てくる事がありますが(杉葉)、病気ではないので葉ぶるい(周期的な自然落葉)でいったん葉が自然に落ちるまでほうっておきます。
強剪定などでも同じような葉が出てきます。
<真柏盆栽 手入れのコツ>
【芽摘み】
樹冠から飛び出す部分を指で摘んでいきます。
ハサミで刈る方が楽なように思われますが、ハサミを使うと葉先が枯れ込んでいきます。
面倒でも指でこまめにひと芽ずつ、膨らんできた芽を優先的につまみ、引き抜くようにします。
さらに、強く伸びそうな部分も摘んでいきます。
これは4~9月の生長期間中、こまめに行う作業です。
何度も摘んだ部分は芽が混み合ってダンゴ状になってしまうことがありますが、そのときは深めにハサミを入れる深切りをします。
【葉透かし】
付け根に近いほうの下向きの葉を切ります。
枝先部分は下向きでも残しておきます。
【剪定】
葉が揃ってくると養分もたっぷりでき、枝が太ってきます。
葉が増えすぎてきたら、枝をすかすように長い枝を切り詰めて風通しを良くします。
追い込み剪定は随時行えます。また、不要枝になっている小枝も切ります。
胴吹き芽が近い位置に出ているのなら、古枝を付け根から切り落として更新するのもよいでしょう。
【針金かけ】
剪定で整えたら、残した枝が水平になるように針金をかけます。
しかし、幹や枝が太くなりすぎると、針金をかけても曲げられなくなってしまいます。
このような場合は、半分に割ってジンを作ったり、木質部まで削ってシャリ付けを行うとよいでしょう。
自生にも良くジンやシャリが見られるシンパクは、このような作品も多い木です。
作業は休眠期に行えます。
【繁殖】
3~9月なら挿し木ができるので、下葉を落として挿せばよく発根します。
苗木の針金かけは、小さな曲だと幹が太ってくると効果が見えなくなってしまうので、大きく曲付けをしておきます。
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<真柏盆栽 月毎の手入れ>
【一月】
棚上で管理できますが、ジン・シャリ彫刻などの作業を行った樹は保護が必要です。
【二月】
剪定・整姿が可能。植え替え前に幹掃除や不要枝を透かしておくのも手です。
【三月】
先月に引き続き剪定・整姿可能ですが、新芽が動き出したら作業を控えます。
【四月】
新芽が伸びて輪郭から飛び出るようであれば、中央の生長点を手で摘んで抑制をかける。
【五月】
輪郭からはみ出した新芽を随時摘み取り小枝の充実を図りましょう。養成段階の樹の場合は摘まずに伸ばします。
【六月】
引き続き芽摘みを行います。新芽が固まれば針金掛けも可能です。
【七月】
不要な新芽を摘み取ります。針金かけも可能ですが、皮の剥離には充分注意を。
【八月】
引き続き伸び出した新芽を摘み取ります。フトコロ部の蒸れが心配であれば、葉すかしも行います。
【九月】
九月下旬から剪定・針金かけの適期。最後の芽摘みは九月下旬を目処に。その後にひと芽吹かせて越冬させます。
【十月】
肥培に努め樹勢良く樹を育てます。剪定・整姿の適期。またジン・シャリの清掃も行いましょう。
【十一月】
ジン・シャリ彫刻の適期。ただし改作など樹に負担を強いる作業は、芽動き前の二月まで控えるほうが得策です。
【十二月】
棚上で管理できます。改作などの強度の作業は芽動き前の二月まで待つ方が安全です。